トレーサビリティーを重視する品質管理システムのJCSS校正の有効期限

日本経済を復興させたのは日本のものづくりの技術

戦後の日本経済を復興させたのは日本のものづくりの技術ではないでしょうか。世界的に見ても品質の高い商品を次々と生産できるようになりました。日本でいくら値段の安いものを製造してもその品質が良くなければ世界では全く売れません。あれだけ日本の製品が売れまくったのには理由があります。それは日本の生産工程で行った品質管理が世界標準に達していたという証でもあります。その品質管理の標準を作ったのが地球の裏側にあるアメリカというところです。アメリカでTQCトータルクオリティコントロールという新しいタイプの品質管理が開発されました。その頂点はデミング賞です。日本にもすぐにTQCトータルクオリティコントロールの品質管理システムが導入され、日本全国の工場などで盛んにTQC活動が行われました。

品質管理のメインポイントはトレーサビリティーです

西暦2000年くらいを境にして、それはスイスのジュネーブにあるISO国際標準化機構が提唱する品質管理システムに移行されてきました。ISO国際標準化機構が提唱する品質管理システムのメインポイントはトレーサビリティーです。トレーサビリティーというのは、品質を保証するためにいつでも時をさかのぼってその品質が確認できなければならないというシステムです。その基本は国家が保有する標準器です。製造工程で使われるような計測器についてはJCSS校正の商標の入った校正証明書が添付されているものでなければなりません。これは日本の国が法律に基づいて定めたことですから誰にも変えることはできません。製造工程で使われるようなあらゆる計測器については、いつでも国家が保有する標準器にさかのぼってその正確さを校正できる必要があるのです。言葉で表現するのは簡単ですが、このJCSS校正をするためには相当な専門の技術が要求されます。

校正の有効期限については日本の今後の課題です

ひとたびJCSS校正を受けて校正証明書が添付されているような計測器を入手できれば、それには有効期限は特に記載されていません。この有効期限については日本の今後の課題であるということができます。と申しますのは日本の国家が保有するよう準備器についても定期的な校正が必要であると定められているからです。この同じ考えが水平展開されて、やがて私たちが普段使っている計測器についても有効期限が必要になるような事態は予測ができます。ですが今の時点ではそれはまだ確立されていません。一度校正証明書を入手できれば、それで末永く使用できるということになっています。そのうちに法律改正があり、製造工程で使われる様々な計測器についても、定期的にチェックを要求されるような時代がやってくるのではないでしょうか。